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Cherry Five Original Title
CHERRY FIVE
Japanese Title
白鳥の殺意
Artist
CHERRY FIVE
チェリー・ファイヴ
Release Year
1975
Personnel
CLAUDIO SIMONETTI: Keyboards
MASSIMO MORANTE: Guitars
FABIO PIGNATELLI: El. Bass
CARLO BOLDINI: Drums, Percussion
TONY TARTARINI: Lead Vocals
Label(s)
Cinevox, Vinyl Magic (Italy), King (Japan)
Produced by CARLO BIXIO
Recorded at Titania Studios from April 1st, 1975 to June 1st, 1975
Mixed at Ortophonic Studios during Sep.1975
All titles are written by Simonetti-Morante, Words by Giancarlo Sorbello
Introduction
シモネッティモランテピニャテッリが「ゴブリン」結成の『直後』に「チェリー・ファイヴ」名義で完成させた1枚。ゴブリン誕生以前の74年に録音された"OLIVER"のレコーディングがその下敷き。ついては、74年の渡英時代のメンツだったカルロ・ボルディーニ(Carlo Boldini)がここでのタイコだが、英国に残留したヴォーカルのクライヴ・ハインズ(Clive Hines)は不参加。"IL REALE IMPERO BRITANNICO"にも参加するトニー・タルタリーニ(Tony Tartarini)がここでのヴォーカル。ここで興味深いのは、"PROFONDO ROSSO"のアートワークを始めとする数枚のスナップでは、タルタリーニがあたかもゴブリンのメンバーのように写し出されている辺り。"CHERRY FIVE"と云うユニット名も、チネヴォックス側が土壇場で名付けた屋号だったらしいが、そもそもこれは、この"CHERRY FIVE"と云うアルバムも、ゴブリン名義でリリースされる可能性があった事を示唆していたようにも思える所。
渡英時代の"OLIVER"の録音については、「極めて複雑な方向性の音楽。多種多様な鍵盤楽器を駆使するパフォーマンスには、今もって自身が驚嘆。昨今までの最高傑作の一つ。」と語るシモネッティだが、客観的な印象も正にそんな感じ。一言で形容すれば、「明朗快活なロックアルバム」とでも云いたくもなるアルバムだが、これも70年代のメジャー路線を地で行く内容。コンセプトとインスト部分のチグハグなイメージや、小ざっぱりとしたミキシングでは損をしていたようにも思えるが、アルバム自体のポテンシャルはプログレ全盛期での及第点も余裕でクリア出来るレベル。"PROFONDO ROSSO"の大成功の陰に隠れる中、プロモーションの失敗を嘆いていたシモネッティだが、その辺りにも手放しで頷ける。
"PROFONDO ROSSO"の録音完了後(75年2月)、同年3月7日に封切りされた映画"PROFONDO ROSSO"も大ヒットを記録する中、このアルバムの録音も同年4月から6月(ミキシングは同年9月)だった事を踏まえれば、「チェリー・ファイヴ」から「ゴブリン」と云う時系列も実は全く逆だった訳だが、一方、「チェリー・ファイヴ」からの流用と囁かれる"PROFONDO ROSSO"の「ワイルド・セッション」イントロ(女性ソプラノ+SEのパート)の経緯については、そんな情報不足の中での論調も実は誤りでもない。と云うのも、あのSEのパートはそもそも74年の"OLIVER"時代のアイディアだったため。ちなみに、サントラに挿入するアイディアも他ならぬアルジェントのリクエストだった。
契約の諸事情でパフォーマーとしてはノークレジットだったシモネッティモランテピニャテッリ(作曲のクレジットはあり)だが、何れにせよ、ほぼ同一メンバーによるサントラとは一線を画したオリジナル路線の1枚だった事を考慮すれば、後年の「ローラー」と比較するのも微妙に面白い所。ちなみに"PROFONDO ROSSO"の大成功に唯一無二のヒントを見出す中、マランゴーロを加えた強力アンサンブルの「ローラー」にはメジャープログレのカラーも皆無。メジャー路線の醍醐味も味わえるこの"CHERRY FIVE"名義の1枚だが、個人的には唯一無二のオリジナルとして何度もリピートした1枚。
Track Listings
1. COUNTRY GRAVE-YARD 田舎の墓地にて 8:19

2小節(8拍)ワンセットのシンコペが小気味良いイントロながらも、良くも悪くもこの出鼻でのタイトな8ビート+ギミックがアルバム全体の印象を決定付けているような気が。現実には、冒頭のギミック、1/2勘定のテンポになる8ビート、シャフル、タランテラ的3連などバリエーションもてんこ盛りのリズムアレンジ、オルガン&メロトロンの劇的なブロックコードやFローズの鍵盤ソロなど、田舎の墓地ってこんなに賑やかだったのかと云うサービス満点のナンバーながらも、あまりにブリティッシュ然としたアプローチには正直ビックリさせられる。ようやく陽の目を見たリリース当時の情報と云えば、シモネッティピニャテッリボルディーニPROFONDO ROSSOの直前に吹き込んだ謎のアルバムと云う触れ込みだったので。
2. THE PICTURE OF DORIAN GREY ドリアン・グレイの肖像 8:28

荘厳なオルガン+メロトロン、アコギのアルペジオ(ピニャテッリか?)、ヴォリューム奏法のギターも印象的なイントロは、美青年ドリアン・グレイのイメージにも近い。ただそれも束の間、16刻みのオルガンリフとちゃちなポルタメント的なモノシンセを皮切りにマーチング的な16刻みのスネアが炸裂、勇壮なトーンに様変わり。1/2勘定のテンポになる8ビートやメロトロンの4コードの部分は劇的で申し分なし。イマイチ弾けていないモランテのソロだが、思えばここまで長いレンスでモランテのソロが聴けると云うのも貴重なのかも。終盤では16刻みのPfリフもフィーチャー。とにかく忙しい。美青年ドリアン・グレイと云うよりタフネスなアドヴァンチャー系のキャラを連想させられるナンバー。
3. THE SWAN IS A MURDERER (1 part) 白鳥の殺意 (パート1) 3:53

ドリアン・グレイの続きのようなElチェンバロのイントロ、続くシャフルのビートが「白鳥の殺意」と云う鋭利なイメージを吹っ飛ばす。このナンバーに限らず、ここまではとにかく元気一杯、怪しさも絶好調なタイトルとは裏腹に明朗快活な印象に終始。ノーメロのスキャットやモノシンセのSEで構成されるPt2に続くブリッジの部分は、PROFONDO ROSSOの"Wild Session"で使用されたSEをそのまま流用。と云うよりこれは、そもそも"OLIVER"の74年の段階で録音されていたもの。
4. THE SWAN IS A MURDERER (2 part) 白鳥の殺意 (パート2) 5:05

SEが再び繰り返される中、今度こそは「白鳥の殺意」らしさが炸裂するのかと思いきや、16刻みのタンバリンも加勢するサウンドは元気ハツラツ度もパワーアップ、ベガーズ・オペラを髣髴とさせる長3度のハモリも軽快なバリバリのブリティッシュサウンドが炸裂する。と云うか、個人的にはこの手の路線も大好物で何ら問題もなかったが、やはり「白鳥の殺意」と云うタイトルが潜在意識で燻らされる。ルナティックな白鳥みたいなイメージにも聞こえなくはないけど。タイトな8ビートに終始するナンバーながらも、アナログフェイズ仕様のタイコのフィルインを皮切りに、ふと気付けばいつの間にか終演。
5. OLIVER オリヴァー 9:30

墓地や殺意の文言が躍るおどろおどろしいタイトルから一変、その名もズバリ前身バンドの名前「オリヴァー」。ディケンズを髣髴とさせる文学小説チックなタイトルながらも、その実、このナンバーが一番おどろおどろしい。と云うか、ここまでのタイトな8ビート+快活なイメージもウソのような近代モードをかじるアングラなイントロ、拍子チェンジも慌しい構成は、孤独な青年を謳い上げる詞の内容も置き去りにしているが、その実、ディケンズのイメージと云うのもこんな感じなのかも。ドラをキッカケにする中間部分は、アルバムでも虎の子のゴブリン的な世界。続く5/4のパートから一気にクライマックスへ。循環系の拍子が延々と続くと云うのも、実はアルバム中でもこのナンバーだけ。
6. MY LITTLE CLOUD LAND 雲の王国 7:43

ジェスロ・タルを連想させる冒頭からドラマティックな終盤まで聴き所も満載のナンバー。モノシンセがアルバム中では最も活躍。ピニャテッリも力量を充分にアピール。と云うか、ここまで聴いて漠然と感じた事と云えば、タルタリーニの英語がフツーにナチュラルだった事。ブリティッシュ指向のサウンドの影響もあるが、逆に英語ベタがマイクを握っては大きく穴を開けられる。アクア・フラジーレやCK以降のPFMに参加していたベルナルディにも共通するような流暢な英語のタルタリーニだが、同様に英独に向けて英語盤をリリースしていた"MAXOPHONE"のベーシスト、アルベルト・ラヴァシーニの話なども思い出す。英語の吹き替えには全く抵抗がなかったと話していたラヴァシーニだが、若干二十歳だったと云う彼の場合、ラジオから流れるヒット曲に合わせて口ずさむ日常的な感覚だったとか。
Cherry Five - Backside Photo
左のフォトは、国内盤CDパッケージの背面インサーツ。後年のゴブリンでは核となるシモネッティ以下3名を割愛するレイアウト構成と云うのもかなり微妙だが、更に微妙だったのは、クレジットではボルディーニとされるタイコの写真がマルティーノの写真で代用されている辺り。シモネッティ以下3名の名前が割愛(作曲者としてのクレジットはある)されていたのも、「ゴブリン」と云う商標の下で契約を交わしていた為なのだろうが、となれば、写真はおろか名前すらクレジットされないシモネッティらを差し置いて、録音には不参加のマルティーノの写真が使用されると云うのも実に摩訶不思議な感覚。タルタリーニのフォトは貴重ですけどね。
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