Return to Top トップページへ
overview
related artists
filmography
chronology
link
webmaster
FLEA ON THE HONEY (1971)
ETNA (1975)
FLEA Original Title
TOPI O UOMINI
Japanese Title
none
Artist
FLEA
Release Year
1972
Personnel
AGOSTINO MARANGOLO: batteria, vibraphone, percussioni
ANTONIO MARANGOLO: canto, armonica, pianoforte, harmonium
CARLO PENNISI: chitarre, mandolino, canto
ELIO VOLPINI: basso, sax soprano, canto
Label(s)
Fonitcetra (Italy)
Musiche di MARANGOLO-PENNISI
Introduction
アントニオアゴスティーノマランゴーロ兄弟ペンニージの第2章となったがこのアルバム"FLEA"。ポップな前作からハード路線に転進と云った論調が一般的だが、その実、表向きのピュアなイメージを硬派なインスト感覚の隠れ蓑にしていると云う点では前作と何ら変わらない。パープルが第1期から第2期に移行したようなケースともかぶるが、これは全くの別モノ。と云うか、当の本人たちはそんな意識もあったはずだが、要は、持ち前のポテンシャルにはウソも吐けなかったと云う事。例えて云えば、マシンヘッドをリリースしたパープルが、その3年後に"ETNA"のようなスタイルには転進出来なかったと云う話。
前作に同じ四重奏のメンツだが、ここではインストパートでのヴォルピーニのアピール度がアップ。ちなみにヴォルピーニと云えば、本作の翌年に兄弟バンド「ルオヴォ・ディ・コロンボ (L'uovo di Colombo)」を結成する人物。「ルオヴォ・ディ・コロンボ」と云えば、バンコやトロールスと同様、当時の英米には存在しなかった伊ならではのかなり面白いバンドだが、その強力なインストパートでのヴォルピーニのプレイを取り上げれば、ここでのマランゴーロ兄弟との仕事も阿吽の呼吸だったはず。ちなみに75年の"ETNA"では、ここでの凄味もスタイルを変えて更にヒートアップする事に。
前作ではポップからハード、グラム系ロックなどのヴォーカルを披露したアントニオだが、ここでのパフォーマンスにもまたもや仰天。と云うか、インストパートも延々と続く中、あのインストの鉄人アントニオが延々と休符状態と云うのも洒落にはならないと云う話。ただ、取り敢えず鍵盤系はプレイするものの、木管のポジションをヴォルピーニに譲っていた事を考慮すれば、あながちロジャー・ダルトリーのようなパフォーマンスもイヤじゃなかったと云う見方も。ブルースハープも披露してますし。ただ、そんなアントニオのような例も、アカデミックなプレイヤーも絶対的な数だった当時のイタリアでは珍しくはない情景。バンドとしての成熟度はイマイチでも、個々のプレイでは英米のロックスターを凌駕するようなアカデミックな連中がゴマンといた事も周知の事実。そんな連中が暗黒の69年を経て大衆音楽でアピールせざるを得なかった事もこれまた周知の事実。後年、「ゾンビ」の録音ではヴァイオリンを握るモランテシモネッティだが、そんなサクッとした話もイタリア版団塊世代のプレイヤーの当たり前の素養を証明する一例。
全てのナンバーは、マランゴーロペンニージによるコラボ。クレジットされているのもメンバーのイントロと曲目だけと云うこのアルバム、エンジニアはもとより録音場所や録音時期にも一切言及しない実は謎の作品だったりする。白一色でコーディネートした老人が階上の壁際に佇むアートワークは、如何にもイタリア的な絵画センス。抽象的な作画ではないものの、テーマの方はフツーに抽象的。ついては、肝心のサウンドがハード路線と来ればその謎もさらに深まる。89年度プレス盤のCDは、フォニットチェトラのリリース。これはゴブリンの足跡の中でも貴重な一枚。
Track Listings
Side A
1. TOPI O UOMINI 20:24

アルバムのタイトルナンバー。A面全てを費やす大作。と云うか、ゴブリン関連ではLPの片面を費やす唯一のナンバー。"Woman From Tokyo"のようなハットワークのイントロ、3/4と4/4をそれぞれ2小節で計4小節ワンセットのテーマ、フツーの4/4を16分割3連シンコペのアクセントにする事で変拍子のように聞かせるサビ、ギターリフによるテーマリピート、今度は3/4だけで計4小節ワンセットに変化するテーマ、ペンニージがギターをかき鳴らす4/4のブリッジ、そしてペンニージのソロのブリッジまでが第1章。

続く第2章は、テンポを1/2に落とすへヴィーな8ビート4/4のテーマ、倍テンポでの4/4×5小節+3/4×3小節で計8小節のサビ(2拍3連のキメが3回登場)、テーマのダルセーニョを1コーラス、サビ、ギターソロでテーマを1コーラス、サビで終わり。

メロウで劇的な第3章は、8小節のイントロから16小節のテーマ、6小節のサビ、イントロ+クワイヤ入りのテーマ(2コーラス目)+サビをそっくりリピート、ギターとタイコのインタープレイをフィーチャーする8小節のブリッジ、タイコがシンバルだけになるテーマ(3コーラス目)+サビ、イントロ+クワイヤ入りのテーマ(4コーラス目)+サビ、ギターとタイコのインタープレイをフィーチャーする8小節のブリッジ(2回目)、クワイヤ入りのテーマを4倍長の64小節に延ばしたギターソロ(5コーラス目)+6小節のサビからケツ2小節のモチーフのリピートで計20小節のギターソロと云う内容。特筆すべき点は、6小節のサビを除けば、大半を占める4/4のテーマのパートが3/4と5/4でワンセットのように聞こえる特異なアクセントだった事。

第4章は、アゴスティーノのソロが中心。ベースのキメをフィーチャーする4/4インテンポでのソロが22~23小節目まで続いた後、やや短めのフリーのソロに突入。締め括りでは、ブラック・サバスのようなへヴィーなアンサンブルが4/4拍子で約12小節登場。後年、「ローラー」収録ナンバーの"Goblin"でも聞けるアゴスティーノのソロだが、録音状態は雲泥の差ながらも、キチンと纏める必要もなかったこちらでのフリーなプレイもかなり楽しい。アゴスティーノのファンは必聴の内容。

続く第5章は、やや短くもキチンと独立したモチーフ。4/4拍子12小節でワンセットのテーマをリピート、ブルースハープのソロ1コーラス、ギターソロ1コーラスと続いた後、ライドの刻みを中心にリム+口笛+スキャットなどが交錯するフリーなインプロのパート、最終章がクロスフェイドする中で終演。

最終章は第1章のリプライズ。3/4×2小節+4/4×2小節でワンセットのテーマを6回(頭の2回はタイコ抜き)と、シンコペに聞こえるサビ1回のインストパートがイントロ。ヴォーカル入りのテーマとサビをイントロとほぼ同じサイズで演った後、サビのケツ2小節分のモチーフをエンドレスでプレイ(フェイドアウト)、20分超の大作が終了する。と云うか、LPの片面を費やす同時代さまざまの作品などとはポテンシャルが全く異なっていた事も以上の通り。これは余程のリハを積まない限りノンストップのライヴなどでは無理な内容。同時代のハード系はおろかプログレ系でもこんな事はやってなかったはず。と云うより、ハード系のツラを被ってこんな事するなんて尋常な事でもない。後年、ドリシアなどのハード系プログレでも20分前後のハイテク大作は演っているが、それも売れてる中での高いモチベーションでの仕事。売れるかどうかも判らなかったこのバンドの場合、ここでのパフォーマンスも素の状態でのサクッとした仕事だった訳なので。
Side B
1. AMAZZONE A PIEDI 4:08

アップテンポ3/4のハードなナンバー。ギター+ベース+ヴォーカルのユニゾンがそのままテーマのリフになる辺りは、当時の英米ロックではあり得ないスタイル。何より凄かったのは、同一モチーフがヴォーカル/インストの両パートで延々と続く中、3/4拍子3小節でワンセットのリフを8分割での変拍子のように聞かせている辺り。と云うか、これも他ならぬ熟練者ならではのスキル。後年、英米はもとよりスカンジナヴィア系のハードプログレでもこの手のナンバーはお馴染みだが、ストレートな拍子のシンコペだけで勝負しているバンドも殆どない。異なる拍子が交互する循環系の拍子には複雑なイメージもあるかもしれないが、交互する拍子のどちらかがキッカケになる事でグチャグチャにもなりにくいと云うのがプレイヤー側での真実。まぁ、異なる拍子のセットが数セットも用意されたマスターベーション的な変拍子の場合は、端からロックには不向きと云う事で。僅か4分程度に纏められたこの曲、ハードなナンバーには違いないが、70年代でも上質の部類に入るプログレと呼ぶべき1曲。
2. SONO UN PESCE 6:30

3/4のリリカルかつ幽玄な1曲。化粧+シンフォ系サウンドの日本のネオプログレ界隈が好みそうな感じ。幽玄かつメロウなヴォーカルパート+リリカルなインストパートのテーマを繰り返す序盤、幽玄なトーンに変貌するインストパートの中盤、テーマのダルセーニョと云う構成。アヴァンギャルドなインストパートも面白いが、何より、テーマを彩るヴァイブ+アコピ+ギターによるユニゾンのリフが絶品。この上なく美しい。中盤ではベースのヴォルピーニがソプラノ木管を披露しているが、それにしても、あのアントニオがよく譲ったなと。と云うか、スキルの高いエレベ奏者がひょっこり木管を握る辺りも、当代のイタリア人プレイヤーのアカデミックな素養を象徴。
3. L'ANGELO TIMIDO 5:51

ギター+ベースのスリリングなリフ+復活儀式の荘厳な祈り文句のような合唱パートが交差する序盤、ハーモナイズ処理されたペンニージのソロ+ヴォルピーニのベースソロ+アントニオのブルースハープソロをフィーチャーする8ビートの中盤インストパート、シャフルの12小節ブルースの終盤と云う3段構えのドラマティックなナンバー。と云うか、この怒涛のアルバムのエンディングがブルースかよと云う感じ。何れにせよ、表向きはハードな看板を背負いながらも、実の内容は前作にも劣らぬバラエティ度だった事は確か。前作と本作、後年の"ETNA"で完結するマランゴーロ兄弟ペンニージの70年代コラボシリーズだが、幅広いポテンシャルに於いては何れの内容も後年のゴブリンを凌駕していた事も確か。ちなみにこの曲での中盤、インストパートでのペンニージのサウンドは、音色/フレーズ共に"ETNA"で披露するような垢抜けた内容。
Copyright: The Fantastic Journey of Goblin - Authored by clockrestorange - All trademarks and copyrights on this page are owned by their respective owners.