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GOBLIN - SUSPIRIA (1997 edition) Soundtrack
SUSPIRIA (cinema) directed by Dario Argento / music by Goblin
Suspiria Original Title
SUSPIRIA
Japanese Title
サスペリア
Artist
GOBLIN
Release Year
1977
Personnel
CLAUDIO SIMONETTI: Mellotron archi, Organo da chiesa & cori, Organo Elka, Violini Logan, Celesta,
Piano Elettrico & Acustico, Minimoog, Moog system 55
MASSIMO MORANTE: Chitarra Elettrico & Acustico, Buzuki, Voce
FABIO PIGNATELLI: Basso Fender, Precision senza tasti & Rickenbacker, Tabla, Chitarra Acustica Voce
AGOSTINO MARANGOLO: Batteria, Voce, Tutte le percussioni
ANTONIO MARANGOLO: Sassofono on tr.6
MAURIZIO GUARINI: (uncredited)
Label(s)
Cinevox (Italy), EMI, King (Japan), EMI (UK), Attic (Canada),
Barclay (France), Koch (Austria), etc
Edizioni musicali: BIXIO CEMSA
Missato all'Orthophonic Studio: da PINO MASTROIANNI
Introduction
75年の劇場長編作品"PROFONDO ROSSO"の大ヒットでイタリア国内での人気を確立したゴブリンだが、そんなバンドの名前を全世界に知らしめた作品がこの「サスペリア」。「サーカムサウンド」と銘打たれた音響効果や「決して一人では見ないでください」と云う宣伝コピーも功を奏して大ヒットした映画作品だが、ゴブリンの日本デビュー盤となったのもこの「サスペリア」だった。シモネッティの談話によれば、配給された国々でのサントラの売り上げが延べ40万枚に達する中、ダントツの売り上げを記録したのがここ日本だったとの事。間もなくして"PROFONDO ROSSO"の邦盤LP「赤い深淵」がリリースされる日本だが、映画の方でも75年の"PROFONDO ROSSO"が「サスペリアPART2」と題されてお目見えする中、そのサントラとしてパッケージし直された"PROFONDO ROSSO"が再びヒット、その直後に公開された「ゾンビ」のサントラも好セールスを記録するなど正に破竹の勢いだった。
コンボスタイルのサントラ作品がつるべ打ちのヒットを記録すると云う現象も今では考えられなかったりもするが、何より興味深いと云えば、年月を経てアルジェントの映画などがカルト的な人気を博するようになる中、一方のサントラ音楽の人気の方も一人歩きしていたと云う事実。名盤と謳われた70年代の名作などでも後の世代は無関心だったりするが、映画のメディアがPRの好材料となるサントラ音楽の人気はなかんずく不変。事実、ゴブリンの公式サイトやファンサイトのスレには10代〜20代の連中も顔を出している。映画マーケットの傍らで一人歩きするゴブリンのサウンドだが、wwwで結ばれる世界を舞台にもはやその人気は廃れる気配もない。世紀を跨いだ以降もDAEMONIAを率いて精力的なツアーを展開するシモネッティだが、そんな何気に信じ難いアクティヴィティも一人歩きしていた巷での人気にフツーに応えているだけのもの。要は、DAEMONIAのギグも往年のファンが集う同窓会のようなものとは一線を画したカレントのイベントだと云う事。
そんな不変の人気を支える立役者となった作品がこの「サスペリア」だが、延べ3ヶ月間のレコーディングの中で大きな事件だったのは、あのELPキース・エマーソンからムーグシステム55を借用していたと云う事。シモネッティの談話によれば、B面トップ(5曲目)の「エレナ・マルコス」ではシステム55のシークエンス機能をフィーチャー、コンピュータ制御のシークエンスフレーズの挿入も初の試みだったとの事だが、恐らくはこの談話もスタジオ録音に限っての話。75年冬のライヴでは、当時は未発表曲だった「ゴブリン」のイントロ部分でシークエンスプログラムが使用されていた。そんな話も、プログラムに精通するグアリニがツアーに参加していた事を考慮すれば何ら違和感もない所だが、そこで注目されるのが、グアリニも「サスペリア」の録音に参加していたと云う事実。録音の際には鍵盤をプレイしながらも、ギャラを巡っての衝突からプロダクションを去ったと伝えられるグアリニだが、恐らくはグアリニの参加と云う話も、このシークエンスのプログラム辺りでの関与だったようにも思える所。
ギリシャの弦楽器ブズキ"Buzuki"(バズーキと云う発音ではない模様)やインドの打楽器タブラをフィーチャーする個性的なサウンドもアルバムの大きな特徴。そんな中でも、シモネッティの談話でも明らかにされた「チャーチオルガンとメロトロンの連結」と云うトピックは、76年当時のサントラ音楽ではなかんずく大事件。これは、チャーチオルガンのアナログサンプル音源をメロトロンM400で弾いたと云う事だと思うが、アタックも不安定で発音時間も制限される中、場合によっては音程にも影響が及ぼされるメロトロンにチャーチオルガンをサンプリングすると云うのもフツーに考えればナンセンス。ところが、冒頭のテーマ曲や4曲目の「悪魔達の囁き」でも証明されている通り、鈍いアタックのメロトロンによるチャーチのサウンドが結果的には大成功。これは、無意味にも思えるような無謀な行為も、時に絶大な結果をもたらすと云う数少ない好例ではないだろうか。
スクリーンテストの際、キャストの面々にフィルムの緊張感を体験させるべく、ゴブリンの面々がフィルム用に録音したデモテープが使用されたと云う話も興味深い。シモネッティの談話によれば、後にリリースされたスコアは全て作曲し直されたものらしいが、そんな話を耳にすれば、未発表トラックとしてのリリースにも期待させられてしまう。ましてや、コンポジションそのものが違っていたとなれば、「未発表トラック」ではなく「未発表曲」。何とかならないものだろうか。
初回版の国内盤LPも既に手元には無くハッキリとは覚えていないが、東芝EMIからリリースされた国内盤のライナーノーツ(伊藤政則さんだったと思う)で触れられていた「イタリアンロック四天王」なる文言には釘付けにされた。記憶によれば、その四天王(笑)を構成するゴブリン以外の3つのバンドは、レ・オルメ、ニュー・トロールス、イ・プーと記載されていたはずだが、そんな未だ見ぬ異国のバンドに胸を時めかされた体験と云うのも今思えばメチャクチャ懐かしい。ただ、やがてそれらのバンドのサウンドを耳にした際、一人歩きしていたイメージとのギャップにもかなりの落差があった訳だけど。と云うか、ローカルな良さをアピールするタイプのユーロ系も個人的には嫌いではないが、テーマ曲の2拍3連の中間部や「闇の饗宴」の垢抜けたイメージとは全然違っていた訳なので。76年12月号(9月号?11月号?良く覚えてない)の「音楽専科」で紹介されたアルティやアレアには、それから間もなくしてのめり込んだけど。要は、硬派なインスト系が大好きなんですね。
Track Listings
1. SUSPIRIA サスペリアのテーマ (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 5:57

歌詞カードに起こされても困るような不気味なスクリプトは、シモネッティのパフォーマンスによるウィスパリング。シモネッティの談話によれば、1500〜1600年代のラテン歌詞付きの旋律をモチーフにしたと云う楽曲だが、そのモチーフとなったアイディアを寄稿したのは、アイリーン・マラテスタと云うチネヴォックスのプロモーションに携わっていた事もあるギリシャ人女性。アルジェントが中世の魔術的なエッセンスの漂う古代の音楽をリサーチしている事を聞きつけたアイリーンは、その「木の上の3人の魔女」"Le tre streghe sull'albero" ("Three witches on a tree")と題されたラテン歌詞付きの旋律をプロダクションに冗談半分で送り付けるが、一方のアルジェントはフィルムのコンセプトにもリンクすると深く感銘、太鼓判が押された事でゴブリンの面々にGOサインが出されたものだった。

チェレスタの1度(8va)/5度/1度の分散を除けば、DEFA/GFG休/FGAD/D♭D♭D休(4/4で4小節分)と云うベル音のトップだけになるテーマのリフだが、恐らくは「木の上の3人の魔女」と云うモチーフもそんな童謡のような単旋律のリフに乗せて歌われていた素材だったのかも。そんな親しみやすいイージーなリフとお化け屋敷のようなワクワク緊張感が融合すれば爆発的な知名度を得たのも然るべきと云った所だが、そんな中でもなかんずくでの個性を演出していたのは、ギリシャの弦楽器ブズキやインドの打楽器タブラなどのマイナーな楽器。民俗音楽でプレイされるブズキやタブラのサウンドなどは、それぞれフツーに聞き流せばどこまでもフツーの楽器だが、ワールドワイドなサントラ音楽にひょっこり登場するブズキの場合「判別不能な楽器=謎のサウンド」と云う直感的なイメージに連結、一方のタブラの方は不気味な残響処理が功を奏する形で異彩を放っていた。

個人的にもこのテーマ曲には絶句させられたが、その理由と云うのも序盤と終盤のテーマのリフなどではなく、ダイナミックな中間部があまりにカッコ良すぎたため。ソリッドな2拍3連が炸裂する中間部のダイナミズムには手放しで卒倒させられた。しかもこのパート、Dmでの一発勝負。マイナートライアドのワンコードながらも、アタックの鈍いメロトロンによるチャーチなサウンドも大きな魅力。フィルムではエンドクレジットの炎上シーンで挿入されていたが、終わり良ければ全て良しと云う事で映画の方に惚れ込んでしまったのもそんな理由を経ていたから。この「サスペリア」は中学生の時に観た作品だったが、あの劇場でのエンドクレジットの衝撃は今なおもフリーズされたままだったりする。
2. WITCH 魔女 (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 3:10

ティンパニの残響処理、オバチャン的な生ヴォイスとメロトロンのクワイヤ、フランジャーがかった低音レンジでのユニゾンなど、過去のホラー系サントラでもここまでヴィヴィッドなインパクトと云うのも記憶にない所。リフのユニゾンを奏でるベルツリーなども実に効果的。隣近所に聞こえる音量で鳴らすには抵抗を覚える曲だが、これって実は、ステージで再現してみてもインパクトがあるスコアなのかも。シェークスピアのイメージにもリンクするのだが。
3. OPENING TO THE SIGHS 謎の呻き声 (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 0:32

フィルムの冒頭でもお馴染みのトラック。神経を逆撫でされるようなフェイド効果が絶品。
4. SIGHS 悪魔達の囁き (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 5:15

ルナティックなブズキのサウンドを背景にアコギがグルーヴする異色のナンバー。地を這うようなスーパーバリトンの呻き声からアルトまでの多様なクワイヤも立役者の曲だが、そんなクワイヤ系のパートを取り去ってしまえば、恐らくは「カッコイイ」と云うイメージのナンバー。俄然盛り上がるクライマックスは、稀代の悪魔系ホラーたるフィルムのプロットを集約。重厚なメロトロンと複数の生ウィスパーで構築されるポリフォニックな空間は圧巻。公開当時、学園祭などでの怖がらせ系イベントでも重用されたのが2曲目とこの曲だった。
5. MARKOS エレナ・マルコス (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 4:03

システム55のシークエンスフレーズ、フランジャー+ディストーション系のリッケンバッカー、ロガン社の鍵盤ストリングス(メロトロンかも)、切れ味鋭いパーカッションのコンビネーションで構成されるナンバー。特筆すべき点は、ストリング系以外の鍵盤フレーズは、ウィットの効いたクライマックスまで全てがプログラムだったと云う辺り。

それにしても笑えるのが、フィリップ・グラスのアルバム「2つのページ」の収録曲「同じ動きの音楽 "Music In Similar Motion"」と「エレナ・マルコス」の類似性が真しやかに囁かれている事。IMDbの「サスペリア」紹介ページなどでも音楽の項目で堂々と名を連ねるフィリップ・グラスだが、これって実はお門違いも甚だしい。一言で云えば、「エレナ・マルコス」はCm7一発のジャムナンバー。完全4度でのハモリは常に付きまとうものの、基本的な分散フレーズは、16分割で4小節にすれば「CE-CE-/CE-CE-/CE-FG/FGFE-」と「FE-CE-/FE-CE-/FGB-C/B-CB-G」("-"はフラットの意)と云う2つだけ。そんな虎の子の分散フレーズを背景に、ピニャテッリのリッケンバッカーがテンションもせいぜい9th程度でジャムると云うナンバーが「エレナ・マルコス」の正体。となれば、一つのモチーフをテーマにさり気ないヴァリエーションを真骨頂にする「同じ動きの音楽」とはコンセプト以下何から何までもが全く別。と云うか、Cm7一発で4/4に終始する伴奏トラックをシンセのアルペジオにしただけで「真似してる!」と云われたような暁には、音楽の世界も当の昔に破滅していたはず。アカデミックなコンセプトを実践したフィリップ・グラスが実際にゴブリンを訴えたとは到底思えないもので、この話題についてフィリップ・グラス本人やゴブリンの面々がどう関わっていたのかなども個人的には全く興味なし。何故ならば、これってホントに稚拙なケースなので。と云うか、トーシロを相手に法廷などでその違いを証明するのも、ミニ鍵盤でも1台あれば余裕でOKってなケース。Cm7の分散ノートを全音符タイのウンコ弾きにでもしていれば、どこが似てるの?とか云われるケースなんですよ。一方の「同じ動きの音楽」は、ウンコ弾きに出来るような楽曲じゃないでしょって。個人的にはフィリップ・グラスゴブリンも大のお気に入り。だから余計アホらしく思える。
6. BLACK FOREST 暗黒の森 (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 6:00

メロウな序盤からヒートアップする中盤を経てメロウな序盤のモチーフに帰ると云う展開は、リリースの数年前、全世界を席捲したハンコックの「ヘッドハンターズ」収録曲「スライ」にもソックリ。ただ、8分の3連打をキッカケにするピニャテッリのベースラインも異様にカッコイイ中間部は、モランテのソロにも象徴されるようにロック魂が全開。アゴスティーノの兄アントニオもテナーソロで客演。モランテシモネッティアントニオのソロの交換は、8小節1コーラスで2コーラスずつ。ムーグを中心とする鍵盤系のリヴァーブサウンドは、あのバレエ学校を取り巻く夜の森のイメージにもぴったりだが、フィルムでは使われず。と云うか、夜の森が登場する場面も序盤だけだけど。16分割り3連カウントシンコペからGmとFでスライドするキメは、次の「闇の饗宴」の調性にもリンク。
7. BLIND CONCERT 闇の饗宴 (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 6:11

イントロのテーマリフはご愛嬌。と云うより、マルコスの手下キャラが密談するような情景をイメージした曲だったのかも。劇場公開当時、ウド・キアーとジェシカ・ハーパーの会談シーンで使用されていたような記憶もあったが、後年のメディアによれば勘違いだったと云う事で。と云うか、もう個人的にはこの曲が「ゴブリン」そのものだったので、劇場鑑賞の際にも幻聴が聞こえてたのかも。アナログ2枚買い継ぎしたのもこの曲の部分が磨り減っていたため。曲の内容と云えば、これまたハンコックのカメレオンのような一発モチーフ(Gm)のジャムナンバー。でもこの曲にはかなりやられました。モランテシモネッティのソロも楽しめロイクーなフィーリングも満開の中間部はもとより、相変わらずの切れ味を披露するマランゴーロのタイコが何より絶品。このインスト、個人的には、最も好きなゴブリン曲です。
8. DEATH VALZER 死のワルツ (Marangolo-Morante-Pignatelli-Simonetti) 1:51

どう考えても4人の共同作品とは思えないシモネッティのアコピソロ。ハ長調からヘ長調には移調する器量はあるものの、どこを切ってもフツーの3/4。でもそのタイトルは「死」のワルツ。盲目のピアニストも惨殺される映画を見た方であれば、フツーに納得出来るタイトルなのかもしれないが、音だけを聴いたような方は「死のワルツ」を「詩のワルツ」とでも勘違いするのではなかろうか。然程の難易度ではないが、ELP「タルカス」のイラプション両手弾きなどを引き合いに出されても、個人的にはこちらの方が全然イヤ。全編オクターブでストライドもデカイしテンポもフツーに速い。しかも、無機質な曲想にも拘らず悠長なプレイを要求されるタイプの楽曲。オクターヴのシェイプなんかには持って来いなんだけど。ましてや、ゴブリンの楽曲なので高いモチベーションで弾ける訳なので。このサントラのヴァージョンは、映画では一発目のバレエシークエンスで登場。主役のスージーが昏倒する2度目のシークエンスでは、サントラ未収録のヴァリエーションが登場、そちらの方もハ長調のワルツでしたね。
Goblin - Suspiria era
左は、77年当時の日本では唯一だったゴブリンの全身フォト。誰が誰なのかと云う記載もなかったライナーノーツだが、思い出しても笑えるのは、アルジェントが誰なのかと云う事も分からなかったと云う事。まぁ、ジャケット裏面の4人の顔写真を参照すれば、アルジェントがバンドのメンツとは違う人だって事には気付けた訳だけど。さまざまな情報収集も瞬時に可能となった昨今、たった一枚の写真を凝視しながら、サウンド鑑賞に熱中させられていた当時の情景もウソのように思えますね。
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